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ワイマチック株式会社はセンサー、ロガー、無線通信を専門とするメーカです。

TEL. 03-3633-1761

〒130-0024 東京都墨田区菊川3-12-6-604

WattMeterは現在BL100の機能で実現しています。

節電メータ実験記

 今回、ワイマチック製のワットメータを入手し、使用電力計測の実験を行ったのでその結果を報告する。

 今、世間で節電が注目されている。クールビズの服装やエアコンの設定温度など方法は種々提案されているが、それで何キロワット節電できたのかの具体性がない。15%節電しましたと言うが、その根拠が”がまんしています”という精神論では説得力がない。また、エアコンを止め、むやみに節電して熱中症になれば何のための節電かという事になる。 節電は必要十分な量でいいわけで、そのためには、やはり具体的な使用電力を知るしかない。

 家庭にある電気メータを見ても、中で円盤が回転しているだけで、積算電力量はわかるが、現在どの程度電気を使っているのかがわからない。ただ、電力量計の円盤の回転スピードが速いか遅いかで、おおよその使用電力は想像できる。

 最近のコンセントタイプのワットアワーメータは単体機器の電力量はわかるが、一番問題になるエアコンや電磁調理器の電力は200Vなので測れない。

 ちなみに電力W(ワット)は瞬間的な値である、電力量Wh(ワットアワー)は一時間連続して使った場合の値で電気料金の計算に使われる。今回問題になっているのは瞬間の電力で、東電発表の数値もWhではなく単位はWになっている。

 電力を測定するシステムは他にもあるが、本格的なものは高価で、専用の設置工事が必要である。有線のタイプは配電盤からケーブルを引く必要があり、危険で邪魔になる。実用的な電力測定は配電盤内にセンサーをつけ、配電盤から無線で飛ばす方式以外は考えられない。

ワイマチックのワットメータ

 青い基板が802.15.4無線モジュール、左側が下が電流センサーコネクター、上が電源供給用USBコネクター。

 ワイマチックのワットメータは住宅用配電盤に設置し、配電盤内のケーブルに電流センサーをつけ、そのデータを無線(802.15.4/2.4GHz)で送信し、その電波を受信しPCでリアルタイムに見るシステムである。データは無線で送信され、PCにつけたUSB受信機でデータを受信し、PC画面でモニターすることができる。配電盤からケーブルを引く必要がなく、安全である。設置工事もないのでコストも安い。消費電力の状態が刻々とグラフに表示され、どこをどれだけ節電する必要があるのかが一目瞭然でわかる。

 測定の原理は簡単で、電流が流れている電線にコイルを巻くと、そのコイルに誘導起電力が発生し、その値は電線に流れているコイルに比例するという原理を利用している。発生する電圧は1V程度の交流で、これを整流して直流に直し、このDC電圧をAD変換して、データとしている。現在は便利になり、コイルを電線に巻きつける必要はなくカットコア型コイルで、2つに割れた電流センサーを電線にパチンとはめるだけである。本線のケーブルを外したりつけたりする必要はなく、本線とは非接触なので安全である。この方法は昔から使われている電力測定法で枯れた技術である。

ワットメータの設置

 家庭用配電盤はサービスブレーカ、漏電遮断器、安全ブレーカで構成される。サービスブレーカまでが電力会社の持ち物である。サービスブレーカは契約電力に応じて、それ以上の電気を使うと切れるようになっている。

 最近の家庭用配線は単相三線式になっており、100V200Vがとれる。電流センサーは、サービスブレーカの出口の赤と黒の線に2個つける。100Vは赤と白、もしくは黒と白を使う。エアコンや電磁調理器などの200V系の機器は赤と黒を接続する。そのため、電流は赤の線の電流と黒の線の電流を加算したものとなる。電力は電流に電圧をかけたものである。ここでは電圧は100Vで、電流をかけたものが消費電力である。実際は電圧を測定し、力率の計算もする必要があるが、今回の目的は節電メータであり、電圧は100V決め打ちで実効電力等の考慮もしていない。電流測定だけの場合は配電盤をさわる必要がないからである。電力値はあくまでめやすで、これで電気料金の計算をするわけでもない。

 ワットメータの設置は写真のように、まず、ワットメータを配電盤の空いている空間に両面テープで張り付ける。次に、赤と黒のケーブルに電流センサーをパチンと取り付ける。次は、電流センサーのコネクターをワットメータ本体につける。また、USB/ACアダプターをワットメータのUSB端子に差し込む。この場合、USBは電源供給のみに利用している。もし、PCに接続すればデータが読み取れる。

 USB/ACアダプターの電源は100円ショップで売っている1口テーブルタップの端を切り、空いている安全ブレーカの出力端子に接続した。これで配電盤のふたをして設置は完了である。ものの10分もあれば設置ができる。

テスト環境

 写真のような居間に置いたノートPCUSB無線アクセスポイントを接続し、付属のアプリケーションプログラムで動作させた。ノートPCの電源はバッテリーで今回の消費電力測定には影響がないようにした。

 ワットメータからは常時5秒に一回程度センサーからの電流値が2.4GHz802.15.4ZigBee)方式の無線で送られてきている。アクセスポイントはその受信機でUSBインタフェースでPCに接続されている。プログラムを立ち上げると現在の消費電力Wとグラフが表示される。グラフでは消費電力の時間的な推移がわかる。表示電力は配電盤の元から電力を計測しているので、トータルな電力である。

 

テスト結果

 我が家には電力を使う機器として、居間の照明、ディスクトップPCPC部屋のエアコン(10年前の機種)、46インチ液晶テレビ+ブルーレイレコーダ、居間の昨年買った省エネエアコン、居間の照明がある。これらを順に起動して行き、また、順に止めていった。その電力消費の経過を示したのが下のグラフである。なぜか200W程度の待機電力がある。これは電話や無線ルータ、冷蔵庫等々であると思われる。

グラフの経過を見るとやはりエアコンの消費電力が大きく、2台を同時に起動すると3KW近くの電力を消費する。旧型がストレートに電力消費が上がるのに比べてと最新型は段階的に上がる。何か省エネの努力をしているように見えて面白い。まだ気温が低いのでエアコンは連続運転にはならないが、確かに各家庭のエアコンが連続運転するとかなりの電力を消費することがわかる。

 他に電力を使う機器としてオープントースター、炊飯器、アイロン、乾燥洗濯機など発熱ヒータ系がある。これらは1KW近くの電力を消費する。乾燥洗濯機は長時間動作するので節電から見て思わぬ腑兵である。

 このワットメータは当然サーバと接続でき、遠隔地からワットメータにより個々の電力消費をモニターできる。会社などで、節電担当者が各部門の電力消費を見て節電量のコントロールが可能である。

 ここからは余談であるが、各家庭の電力消費量もネットで把握できるので東電が喜びそうなシステムになる。1000万世帯にこれつけるとして、費用は多分、無線LANにすれば11000円程度で1000万台で100億円で設置可能である。火力発電所1基分の値段より安いし、しかも燃料費がかからない。また、スマートグリッドと違いすぐに導入できる。ちなみにワットメータの消費電力は0.1Wであり、1000万台でもPCの電力は別としてわずか100KWである。

 各家庭の電力消費がわかるので、電力がリミットに近くなると、個別に節電を促すことができる。今は性善説で、節電のお願いであるが、これがうまくいかない場合は性悪説で、強制的に各家庭の消費電力をモニターされることになりかねない。ただ、モニターをOKした場合電気料金が安いなどのメリットがあるようになるのかもしれない。しかしながら、個人情報の観点から見るとグラフのようにいつオープントースターでパンを焼き、掃除し、洗濯したかとか、照明から家族のだれが所在し、いつ出かけ、いつ帰り、どのような生活をしているか消費電力の経緯を見るとすべてわかってしまうので怖い。

 一方、エネルギー大量消費の時代は地球環境上、これからは成り立たないという事も事実であり、如何に低エネルギーで生活するかというのもテーマになる。自分のエネルギー消費量を積極的にWEBで公開し、低炭素生活をアピールする人も出てくるのかもしれない。

 ワットメータは今ある技術を応用したローテク製品であるが、実用的であり、安価である。電力消費をパソコンに表示させてどうするというような人は別として、エネルギー消費を考え直す道具として面白いのではないか。

 以上


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