コラム

湿度とは?湿度測定の基礎Ⅰ

センシング技術の発達と共に、センサを使用した測定も多様化しています。 特に身近な湿度については測定の需要も拡大しており、ますます幅広い分野での測定がされております。 今回は湿度とは何か、湿度測定について基礎からまとめてご説明します。

湿度とは

 

湿度の表現方法はいくつかありますが、大きく「相対湿度」「絶対湿度」の2種類があります。

相対湿度:
空気中の水蒸気量と、その時の温度で空気が含み得る最大限の水蒸気量との比率

ある温度の時の空気中に含むことができる最大の水分量(飽和水蒸気量)に対して、実際に含まれている水蒸気の割合を%で表すということです。一般的に使用されるのは相対湿度(%RH)です。

絶対湿度:
1㎥の空間に含まれる水蒸気量を単位[g]であらわしたもの

飽和水蒸気量にかかわらず、空気中に含まれる水蒸気量を表わす数値であるため、気温には左右されません。

 

計算方法は下記の通りです。

相対湿度の計算式
相対湿度(%RH)=ある温度の空気に含まれている水蒸気分圧(Pw)/ある温度の空気に含める最大水蒸気分圧(Pws)×100

絶対湿度の計算式
絶対湿度(kg/kg)=水蒸気の質量(X)/乾いた空気1kg

相対湿度と絶対湿度

飽和水蒸気量

飽和水蒸気量は温度により変化するため、異なる温度の場合、同じ相対湿度でも水蒸気量が変化します。

気温30℃と15℃の場合では、同じ相対湿度でも上記の図のように水蒸気量が変化することになります。

30℃相対湿度50%の場合、絶対湿度は15.2g/㎥となります。同じ相対湿度50%でも、温度が15℃に下がった場合、絶対湿度は6.4g/㎥になります。

同じ50%でも水分量は温度によりかなり変化しており、我々が季節で体感する乾燥や湿気を計測することは快適性試験で重要なポイントとなります。

その他用語の解説

露点

ある温度の気体中で気体の温度が下がり、ある温度に達した際に気体中の水蒸気は凝結して露を生じます。このときの温度を露点と言います。 絶対湿度と近い指標です。

結露の発生の有無は機械製品や人の不快感など様々な影響があるので、露点温度を管理することが重要な場面があります。

飽和水蒸気量

飽和水蒸気量a(T)(g/m³)とは、1㎥の空間に存在できる水蒸気の質量[g]水蒸気量のことです。空気中に含むことのできる水蒸気の量には限界量があり、その限界状態における水蒸気の量です。

この飽和水蒸気量は温度に大きく関係し、温度が高くなると多くなり、温度が低くなると少なくなります。

計算式は a(t) = 217・e(t) / (t + 273.15) で求めることができます。

この時、e(t) は飽和水蒸気圧(hPa)であり、その近似値を求める式には以下のようなものがあります。 Tetens(テテンス)式 e(t) = 6.1078 x 10^[ 7.5t / (t + 237.3)]

湿度測定の用途

湿度の計測は一般向け用途だけではなく、製造現場や研究開発などさまざまな分野で必要とされています。 主な用途は

    • 一般家庭向け製品

車、エアコン、加湿器、空気清浄機など

  • 工業用途

車両開発、半導体製造、医療機器、食品加工、農業など

各種製品開発や性能試験では幅広い用途で湿度の測定および管理が重要な役割を果たしており、湿度センサを用いたさまざまな湿度測定機器が運用されています。

建設作業員の男性イラスト

湿度を適切な方法で管理することで、よりよい製品やサービスの提供に繋がっています。

湿度測定機器の選定

 

湿度の測定は用途範囲が広いため、使用目的や測定環境に合わせて適切な測定器を選定することが重要になります。 測定器には湿度センサが搭載されており、センサの種類や仕様により精度や測定方法が変わります。

要求される精度や機器仕様、どのような湿度値が必要かに応じて検討します。また、湿度センサはさまざまな原因により経年変化や故障する場合があるため、 湿度を正しく測定するためには湿度センサの定期的な校正や交換が必要です。

センサの交換が可能か、校正の必要性も含め測定器を選定する必要があります。

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